中国の薬には「電子身分証」がある? パッケージ上のコードから考える情報提供

追跡コードがついている薬のパッケージ

中国の薬局で見つけた「あるもの」

風邪の症状がある時、あなたは市販薬を購入する派ですか?それとも病院に行って薬をもらう派ですか?

中国では、風邪など軽い症状であれば、病院に行かずに自分で薬を購入する人は多いです。薬剤師に自分の症状を伝えて薬を選んでもらったり、普段から服用している薬があれば、即時配送を利用してオンラインで購入したりすることも一般的です。

このように自分で薬を選んで購入する機会が多い場合、「その薬は本当に正しいものなのか」「安全に使えるものなのか」を、どうやって確認するのだろう?と気になりませんか?ちょうど中国人の筆者は今回の夏休みに中国へ帰国した際、少し喉に違和感があったため、久しぶりに中国の薬局で薬を購入しました。

その時、薬箱に「あるもの」が目に入りました。

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薬箱にあるコード、何のため?

薬のパッケージを見ると、レジで使うバーコードとは別に、もう一つ「薬品追跡コード」が付いていました。同じ商品なのに、薬品追跡コードは箱ごとに違います。これは、薬の「電子身分証」ともいわれ、医薬品をひとつずつ個別に識別するためのコードです。

実際にスマートフォンでコードをスキャンしてみると、薬に関する情報が表示されました。正規品かどうか、有効期限内かどうか、そしてこれまでに何回スキャンされたかまで確認できました。自分で薬を購入するときに、こうした情報をその場で確認できることは、大きな安心感につながります。

薬品追跡コードは消費者が使うものだけではありません。医薬品の製造・流通・販売に関わる事業者側では、専用の端末などを使って、薬がどこから来たのかを追跡し、流通状況を管理することができます。つまり、同じコードが、「この薬は正規品なのか」と確認するためにも、「この薬がどこから来たのか」を管理するためにも使われています。

こうした仕組みは、偽造医薬品対策や不正な流通・転売対策にもつながり、医薬品の安全性を高める役割を果たしています。

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同じパッケージ上のコードでも、役割は違う

日本のパッケージでも、バーコードやQRコードなど、さまざまなコードを目にします。お店で商品を管理したり、レジで読み取ったりするためのコードもあれば、商品情報やWebサイトを見るためのコードもあります。中国の医薬品追跡コードは、単に「商品情報を見る」ためだけのものではありません。その薬が何であるかを個別に識別し、製造から流通、販売までの情報を追跡する役割も持っています。

同じように見えるパッケージ上のコードでも、目的や使われ方には大きな違いがあります。

実は、医薬品パッケージのデジタル化は、中国だけで進んでいるわけではありません。各国で、それぞれのニーズに合わせた取り組みが進んでいます。例えばインドでも、医薬品の情報提供を目的としたQRコードの活用が進められています。

医薬品QRコードのデファクト化にむけて インドの動き

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「商品を識別する」と「情報を届ける」をつなげる

商品が国境を越えて流通する今、商品パッケージに求められる役割も変わってきています。「これは何の商品なのか」を識別すること、「商品情報を必要な人」に届けること、どちらも重要ですが、国や地域によって、求められる表示内容や、商品の識別・追跡の方法は異なります。

では、その情報を受け取る人はどうでしょうか。日本語を母語としない人、文字を読むことが難しい人、視覚に障がいのある人など、誰もが同じ方法で情報を受け取れるとは限りません。だからこそこれからのパッケージでは、商品を正しく識別する仕組みと、必要な情報を必要な人に届ける仕組みを、あわせて考えることが大切になります。

「商品を識別する」と「情報を届ける」をつなげる
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GS1 Digital Linkに対応するアクセシブルコード

こうした「商品を識別すること」と「デジタル上の情報につなげること」を結びつける仕組みの一つが、GS1 Digital Linkです。GS1 Digital Linkは、中国の医薬品追跡コードとは別の仕組みですが、商品識別とWeb上の情報をつなげる代表的な標準です。一つの識別子を入り口として、商品情報や使用方法、注意事項、リコール情報など、さまざまなデジタル情報へつなげることができます。しかし、情報をデジタル化してWeb上に置くだけでは、まだ「情報を届ける」とは言えません。

大切なのは、その情報を必要とする人が、実際に理解し、利用できる形で受け取れることです。そこで欠かせないのが、「アクセシビリティ」という視点です。

アクセシブルコード(Accessible Code®)は「情報バリアフリー」を目指し、触知によってコードの位置を見つけやすくするとともに、多言語や音声などを通じて、視覚に障がいのある方や外国人の方を含め、より多くの人が必要な情報にアクセスできるようにします。GS1 Digital Linkと連携することで、「商品を識別する」ことから、「必要な情報につなげる」、そして「必要な人に届ける」ことまでを、一つの流れとして実現していくことを目指しています。

「QRコード」が変える、これからのパッケージ戦略

これからのパッケージに求められること

中国の薬に付いていた「電子身分証」ともいえるコード。今回、実際にスキャンしてみて感じたのは、パッケージ上のコードは、単に「Webサイトを見るためのもの」ではないということでした。商品を識別し、必要な情報へつなぎ、さらにその情報を必要な人に届ける。パッケージ上のコードは、「情報への入口」となるだけでなく、さまざまな役割を担う存在になりつつあります。

これからの商品パッケージでは、どんな情報を載せるかだけでなく、その情報を誰に、どのような形で届けるのかまで設計することが、ますます重要になっていきそうです。

GS1 Digital Link 導入支援

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